タイムスリップしてみる晩夏の夜


 
常に前進する精神を忘れずにいなくてはならない、
と自分と対話していても
自分の中には波があって
迫ってきたり
引いてみたり
自分が想像していたようには波打ってくれないことの方が多い。
 
そしてぼんやり。
途方に暮れてアルバムを見返してしまうくらい、
とことん 過去と対面してみる時もある。
 
ここへ来る人の趣味や嗜好を知っていても
実際には、会ったことは無い。
その人は、どんな気持ちでこの部屋の扉を開けるのだろう。
そしてどんな時間を過ごして、何を胸に吸い込んで
扉を閉めて
次の場所へ旅立ってゆくのだろう。
 
予想や想像をしながら 創造を完成させる。
そして、ここへ来る人の笑顔を想像して
そっとこの花を置く。
 
「ようこそ、いらっしゃいませ。どうぞ良い時間をお過ごし下さい。」
 
晩夏の夜の呟きは
しばしの間、心の中で続く。